旅するランナー

声優夫婦の甘くない生活の旅するランナーのレビュー・感想・評価

声優夫婦の甘くない生活(2019年製作の映画)
3.9
【ONE MORE 映画泥棒】

1990年にソ連からイスラエルに移民してきた声優老夫婦の新たな人生は確かに甘くない。
思うように仕事がなくて、奥さんはテレフォンセックスで20歳台女性に成りすます。
旦那さんは海賊版ビデオショップで吹替えのお手伝い。
映画館にビデオを持ち込んで、映画泥棒までやっちゃいます。
まあ、どちらも、持ち前の黄金ボイスを活かしてるっちゃー活かしてます。

映画ファンに嬉しいのが、昔の名作がチョコチョコ出てくるところです。
「クレイマー、クレイマー」(夫婦関係がギクシャクするのに繋がります)。
「プリティ・ウーマン」(奥さんがお客さんと会うのに繋がります。この海辺のお店のシーンがフランス映画っぽくて素敵です)。

そして、フェリーニの「ボイス・オブ・ムーン」(この作品を観てないので、後半は正直イマイチのめり込めません)。
映画スターが太陽であれば、吹替えはあくまで月の存在。
それで「月の声」なんだろうなって思います。

外国語映画を観るための吹替えや字幕作り。
そんな仕事に携わる方々への感謝の気持ちをチョコっと持ちました。
でも、映画ファンに、いい映画を届けたいという熱く優しい想いはありがたいけど、やっぱりNO MORE 映画泥棒でお願いします。