今この時にも収容所で生きる彼等は苦しんでいる。そう思うと絶望しかない。
10年の歳月をかけ様々な脱北者からのヒアリングや文献の読み込みを経て作られたという本作、アニメならではのリアリティ感が胸を打つ。
北朝鮮という国がどういう風に国民を支配しているのか、この収容所の有り様を見れば一目瞭然のようだ。力を持つ者はあくまで力を持つ者におもねり、弱い者には容赦なくその力を誇示する。他者よりも優遇されるために密告をするのは当たり前で、誰もが常に誰かを監視している毎日。
そんな中、主人公がたどる心の道筋がとても分かりやすく丁寧に描かれていた。あの環境下での母親と妹の優しさ美しさ強さにも胸打たれる。
その他登場人物達の葛藤や決断に人としての揺らぎを感じられたことが唯一の救いかな。
こんなことを国内で行いながら平気でミサイルを打つ隣国がいるということ、そしてその国を後ろから支えている国があるということ。しっかりと受け止めなけなければならないことだと思う。