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スウィート・シングのcinecoroのレビュー・感想・評価

スウィート・シング(2020年製作の映画)
4.8
ジャームッシュの映画が好き!と堂々と言えないこじらせ気味の自分でもロックウェルのインザスープと今作は本当に好き!
KarenDaltonのイエスタデイ〜という歌声に乗って発せられていた予告編だけでも充分に満足したけど、本編はさらに情緒面をぐさぐさと抉ってくる想像の上を行く良作だった。
守られるべきものが守られていない、という状況では常に悲壮感が漂うものだけど、そんな日々の中で自分たちのsweet thingを見つけていける子どもたちの刹那的な輝き、特にビリーを演じたラナ・ロックウェルの希望しか感じない歌声とビジュアルに釘付けになってしまった。早回しやモノクロとカラーの切り替え、MV的な作りはキッチュになってしまいそうなところ、それさえも愛しさと切なさと(あと何だっけ)を助長させるものとして機能している。子どもたちのキラキラに圧倒されて常に目頭が熱かった。私の父親もアルコール依存だったけどあんなに優しいお父さんではなかったなあ。世間的にアウトとされている父親像だけど離れている時にお父さんに会いたいと思われているならばそれだけで良い父親と思える。子どもたちが曲がりなりにも平穏を取り戻しているラストで良かった。
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