スウィート・シングの作品情報・感想・評価

「スウィート・シング」に投稿された感想・評価

mantle55

mantle55の感想・評価

4.0
インディー映画の真骨頂。
子供から大人の刹那を描いた逃避行もの。
よくある設定だけど、色使いやセリフ、監督の娘息子が主人公なことなど、独特の空気感があって印象深かった。
小さい時、1日が長かったよなぁ。
マジ好みでした。
はい

はいの感想・評価

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※作中に虐待描写があります。
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「スウィート・シング」
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家を出ていった母。アル中の父。
既に機能不全に陥ってしまっている家庭だ。

弟と父のご飯を作り、弟と父のクリスマスプレゼントを用意する姉の姿。
かつて在った家庭の面影までは見失うまいと、必死に家族の中心をこなす彼女の傍には、その背中を支える弟がいる。

初っ端から涙が出そうだった。
しかし画面からは悲惨な現状に対して手を取り合う2人の多幸感に溢れている。

中盤以降の、不吉な予感と希望が並走しながら繰り広げられる逃避行劇は、その影を忘れてしまうほど輝かしい。かつて子供だった大人の生までも肯定してくれる。中には、その肯定がやがて内省へと繋がる人もいるかもしれない。
できることなら、映画のその一部分を切り取って永遠と走らせたい。

しかしそれも束の間。
子供だけの物語は、再び親元へと帰着していく。

2人はまだ子供だから。幸か不幸か、この映画は子供を親(もしくは大人)と切り離すことをしない。
思えば、彼女らの救いとなっていた「音楽」についても、父親から託されたもの(ウクレレも彼女自身の名前も)であった。

この最後は明るいものか、どうか。

それはアル中療養から帰還した父の存在にかかっている。
「大丈夫、髪はまた伸びるから」
と言わせた父。
私はまだ「嫌がる娘の髪を無理やり断髪する」という虐待・傷害行為をした父を許していない。
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その後、あの家族はどうなったのだろう。
観た人が映画のその後を案じる。そうさせる物語はどれも美しい。その点においてもとても耽美的な映画だった。
元気付けられたりするわけじゃないけど勇気が出る。肥溜めからは以上です。
襟

襟の感想・評価

3.9

Sweet Thing、どこかで聞いたことあるなと思いながら…私の大好きなヴァンモリソンのAstral Weeksの中の一曲だ…!聞きながら帰ってます!改めて歌詞が素敵。ビリーホリデイの曲も大好き。

最近観た作品の中で断トツでヘビーだったんだけど、感動。生きていくのが辛い中でもなんて温かい光があったり儚くてしんどくてって色々な感情が溢れてきてひと場面ごとに涙が出てきた。少しでも自由になれてよかったね。
なんか3人で逃亡してる姿はダウンバイローのような解放感と清々しさ。

お母さんの彼氏はクソだしお父さんの最初の憎めない優しい雰囲気があるけど酔ってあんなことしちゃダメだよ…同意して欲しいわけでは全くないけど私も父に色々とされた事あるからビリーにこれでもかって位感情移入して10代の頃を良くも悪くも思い出しちゃったな〜。これからもずっと自分の中で大切な映画になりそう。

エンドロールに推しのサムロックウェルの名前が見えた瞬間、声に出したいくらい嬉しかったしインザスープからちゃんと繋がってるな〜と。(親戚なのかな?笑)
お

おの感想・評価

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映画前に監督からこの映画は我々に残ってる子ども時代の魔法です的な説明があるので、アイリスインから始まるわけですね。ほんで出てくる妖精ビリーしんどいよ。
すごい露骨なダメ親演出に、自分がてきとうに過ごしてきた子ども時代をぐちゃぐちゃにされた。ちょっと暴力的すぎよ
苦しい現実社会から逃れたい子どもたち。
母親が家出父親が飲んだくれの両親を持つビリーとニコは貧しくも少し楽しい日々を送っていたが、父親が逮捕された日から彼ら姉弟は自由を夢見る…
アレクサンダー・ロックウェル監督作品。ジム・ジャームッシュ監督と並んでアメリカインディーズのアイコンとして評されるロックウェル監督、たしかに本作はインディーズ風の作風を持つが溢れる情熱が眩しい作品だった。子どもたち主観で見ていく貧しくも楽しい日々が時にキラキラと輝く様が主な要員であるが、苦しい現実社会からの逃避という要素が楽しく遊ぶ子どもたちを際立たせている。
また今作は全編ほぼ白黒映画である。ほぼというのは稀にカラーで映した映像が挿入されるためであるが、このちょい見せカラーの出し方が実に美しくキラキラしていた。主人公ビリーのイマジナリーフレンドであるビリー・ホリデイの妄想シークエンスだったり、ビリーが海に潜ると白黒だったのがカラーになったりと、楽しいシーンや子どもたちにとって感情的にグッドな要素になるとカラーになるという表現がとても魅力的で美しい。子どもたちにとって苦しかったり現実社会を感じさせる日常が全編白黒で撮られているのが更に拍車をかけてカラーを際立たせていた。また監督も言っていたが全編手持ちカメラでの撮影というのも好み。
またバックミュージックとしてビリー・ホリデイのジャズやアメリカンカントリーが流れる選曲もすごく映像にマッチしていて良かった。全体的に苦しい現実が見えるがそんな社会でも楽しく自由に生きようとする子どもたちがキラキラ輝いていた。やっぱり子ども主観の映画っていいなと再確認。
悲しい世界から小さな逃避行を図る子ども達の物語。映像の雰囲気はとても好きだけど終盤は割と雑にまとめられちゃった印象
tomi

tomiの感想・評価

4.0
悪夢の中の小さな輝きの逃避行。

たった数日間それはそれは三人が輝いていて、映像の切り替わりだとか色彩の鮮やかさやPOPな音楽から全身で感じられた。
豪邸に潜り込んできらきらとした衣装を纏いスプレーのホイップを口いっぱいに放り込んできゃっきゃするのなんて本当夢の中みたい。
サントラ欲しくなって探したけれどなかったよ。
Tetsu

Tetsuの感想・評価

4.2
どうしようもない大人たちに囲まれるヤングケアラー。
髪を切られるシーンなんてあまりに胸が痛くなる。

マリクのような仲間ができて、アウトローな旅を送るのは必然というか、そりゃそういう選択になるよな、と。

アイリスインやアイリスアウトという手法や、モノクロとカラーの使い分けが印象的。

パンフレットが厚さは無いけど、内容が非常に重厚だった。

ロックウェル監督はジャームッシュ監督に並びインディーズ映画といえば!という監督だそうで。
とても好きな監督さんが増えて嬉しい!
thorn

thornの感想・評価

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ビリーホリデイから名付けられた巻き毛の女の子。優しいが酒乱の父親。心優しい弟。
モノクロの16ミリフィルムの映像。人物の顔のクローズアップの多様はイタリアのネオリアリズモ映画のようだ。
時折出てくるビリーホリデイが本人にしか見えない。
ビリーホリデイ生き返ったのか?と思った。
子供を顧みず横暴な彼氏の相手ばかりする母。
日常的に暴力を受けても従順に従うその姿はかつてのビリーホリデイ本人と重なる。
この映画のラストは人によってはなんだこのご都合主義は、と思うかもしれない。
たしかにそうだ。
トレーラーハウス以降の物語はあまり脚本上合理的ではない。
ただ監督の「この子供たちには幸せになってほしい」という祈りのような気持ちを感じる。
いい脚本の映画が好きな自分がここまでいい映画だと思えるのは、人物があまりにも生き生きとしているから。
そしてエンドロールはヴァンモリソンのSweet Thingだ。
悪かろうはずがない。
ビリーホリデイの魂もこの物語と一緒に昇華していくようだ。


なぜマリクは警官に背後から撃たれたんだろう?と疑問に思ってたんだけど、彼が"黒人"で、"腰に銃をさしている"のを見つけたからだろうな、と気づいた。何気にきちんと細かいところまで考えられているなと思った。
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