るか

アムステルダムのるかのレビュー・感想・評価

アムステルダム(2022年製作の映画)
2.9
監督のメッセージが強すぎて結局宙に浮いたままになってしまった感じの印象。言いたいことは分かるしタイムリーな戦争と人種問題を存分に扱った作品だったけど、全部セリフで端から端まで言われると説教じみてしまう。メインテーマが第一次大戦後のアメリカが独裁国家になりかけるのを防ぐってことだったけどそれなら主人公含む3人組(恐らく脚色)が本当に作品に必要な存在だったのか正直微妙。もっとダーク調にしてドキュメンタリックに裏の駆け引きを描いた方が売れそう。さらに題材が題材なのでかなりの一次大戦に関する予備知識が必要に感じた。正直恥ずかしい話、自分は日本史や世界史のフランス革命以前までしか学べていないので情報処理でかなり見終わったあと脳が疲れた。さらにハイテンションで物事がログのようにすすんでいく2時間なのでラストの直前は少し失速ぎみ。
ただデニーロのスピーチはかっこいいし、マーゴット・ロビーとアニャ・テーラ=ジョイが並べばそれだけで眼福。クリスチャン・ベールのモルヒネ中毒者の医者の役作りは素晴らしいし、ラミ・マレクの目薬刺し始めたあたりの狂気じみた演技は凄い。けど、それぞれの個性が強すぎるし話は壮大だから大味すぎて結局全部が薄れてしまって微妙だった。

映像としては「起こりうるかもしれない可能性」を実際にしてみせることは斬新で良かった。アニャの顔に穴が空いた時はビビったけど。

あと最近思うのが全年齢対象の作品のグロさが最近上がってる気がする。今回も解剖とか普通に見せてきたし、人体破壊描写も結構明確に見せてきてびっくり。前に見た死刑にいたる病でも拷問のシーンはかなりグロかったけどそういう動きがあるのかな。
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