ブサ猫太郎

アムステルダムのブサ猫太郎のレビュー・感想・評価

アムステルダム(2022年製作の映画)
3.7
1933年ニューヨーク、元復員兵のバートは同じく復員兵のための診療所を営んでいた。ある日、戦友のハロルドから事件の調査を依頼される。国家を揺るがす陰謀を探るなかで2人は命の恩人であり、固い友情を誓い合ったヴァレリーと再会する。

現実に起こったことだと納得させられる。興行としての過剰な演出はなく淡々と物語が展開していく。復員兵の傷跡や死体の解剖、リズの死亡など。要所要所でグロテスクな場面はあるものの事実として描かれているため拒絶反応なく見られた。だからこそ、説得力のある作品になっている。

個人的に当時の排他的な様子が1番印象に残った。黒人差別は色々なかたちで描かれているものの、戦場における描写は見たことがなかった。国のために戦うという同じ目標があるにも関わらず不当な扱いをされてしまうのは残念に感じる。
他にも優生思想や独裁主義などが描かれており、他者を見下す考えが当時どれだけ潜んでいたか理解できる。

そんな少し暗い雰囲気が漂うなかでアニャ・テイラー=ジョイがめちゃくちゃ可愛かった。『クイーンズ・ギャンビット』ではじめて知ったけれども、ちょっとつり目な感じがいい。今作ではマーゴット・ロビーとの絡みが美しすぎる。