ロッツォ國友

マッドマックス:フュリオサのロッツォ國友のレビュー・感想・評価

3.0
字幕:アンぜたかし!!!!!!!



いやーーーーーーーー。
なるほど。
そういう感じね???????



ちょっとまあ拍子抜けというか不意打ちというか肩透かしというか…なんか、びっくりしちゃいましたわたし。

俺はいつも何も調べずに映画館に行くので、自分の勝手な想定と全く違うものが出てきて一人で戸惑う…みたいな愚かムーブをかますんだけど、やっちゃいました今日も……
完全に勘違いしてました……


これね、「MADMAXの新作」だと思ってたんですけど、違いますね。
これは「『MADMAX Fury Road』の大ファン向けのサービス作品」ですよね。

エンドロールから垣間見えるスタンスで明らかになる通り、本作はMADMAXの新しい境地を開拓する作品ではなく、あくまで前作のキャラクターを深掘りするためだけの作品なんだよ。

これは、俺の勘違いが良くない。
と思いますね。



これ本当に、いわゆる、いわゆるスピンオフなんですよ。
ジョージ・ミラー様が自ら手掛けた同人スピンオフって感じのスタンス。

でもこれは……どうなんだろう……ダメなんじゃないですか……?
古参ファンはどう思うのかなぁ……
俺はちょっと…受け入れられない。


結局これ、ファンサの為の作品なので、まぁ発見がないとまでは言わないですけど、「前作ではテンポ感とエッジの為に敢えて語らなかったor削った部分」だけでできた作品なんですよ。
いわば、前作では見えていなかった穴を埋めるだけの作品、というか。

スターウォーズでいうと「ハン・ソロ」ですよね。
タイトルもまさしくキャラ名で、過去の補完だけを目的としたような作品。

面白いけど、同窓会的な意味合いが否応無しに強くなる。
新しい神話ではなく、思い出話。



率直に、素直にいうけれど、
俺は、過去作を各5回ずつ観て、MADMAX Fury Roadだけ40回以上観ている完全ウォーボーイ贔屓の人間だけども、でも……これは求めてないですよ。

前作で削られている、いわゆる"見せなかった要素"は、すべて言葉や態度やアクションで意味深に語られているわけだけど、その少ない情報からでも推測できる事が前作の素晴らしいポイントだったと思っているので、それをただ単に暴くように映像化されても、俺は嬉しくない。

別に要らないよ。
過去編だとしても、あくまで"新しい何か"がみたいんだもん。

深掘り要素もあるだろうとは思ってたけど、本当に深掘りしかなかった。
そして深掘りだけでは、とても楽しめなかった。



キャラクターは…まぁ、イイけど、大半は前作キャラだからなんとも言えないし、同じ感じのまま状況に応じたセリフが足されたのみで、驚くような要素はなかった。
ただ懐かしいだけだ。

BGMに至っては大半が前作の曲をそのまま使っている。
…というか、全曲そうじゃない?

前作の各シーンを盛り上げる為に洗練された曲を、シーンのトーンに合わせて只使っているんだけど、前作の別の名シーンの方が心に残ってるので、なんだかなぁ…という感じ。

新しい曲、なくないすかね?



シリーズ最長の2時間半ある作品だけど、本当にそのままの長さを感じさせる。
とにかく会話が多いのでテンポ感もすごく悪くなった気がする。
そんなに喋らなくても……前作で省いていた要素をマシマシにしたらこうなりますよ。
俺には冗長にしか感じられなかった。すまんけど。


前作って「奇跡の一本」とよく言われてるけど、それを良くない方向に裏付けた感じがする。
似たような作品を引き延ばしだけで作っても同じ結果・完成度にならないですよ。
そここそが奇跡たる所以なんですよ。

度重なるトラブルや仕切り直しを挟みつつ、30年余りの熟成期間を経た前作を、そのままのノリで押し広げて余白を埋めた作品なわけだけど、楽しめなかった。


まぁ、決してつまらない作品というわけじゃない。
別に悪いと思う点はないです。ほんとに。
ただただ、
「MADMAX新作に期待していた要素が全然見つからなかった」
この一言に尽きる。



肝心のフュリオサ自身もさぁ…
アニャ様は眼光鋭くてとても頑張ってるけど……やっぱ可愛さ・可憐さが出ちゃわないか?

バックボーンにある悲劇性や非情性があまり感じられず、情に絆されそうな危うさが常に漂っていたと思う(本来、それが彼女の強みだしね)。
それは良いことだけど、このフュリオサという人物にはちょっと合わない感じがした。
どう思いますかね。



でさぁ!!!!
でもね???????
とは言ってもね?
予告にガンガン登場してたディメンタス将軍と、同じガンガン登場している若き?イモータン・ジョー軍団がこうも前面に出てたらさぁ、絶対にクライマックスは全面戦争だと思うじゃない??
というか、みんなそれを観に来たんじゃない??
大量の車とバイクがブッ壊れるのを観に来たんじゃない???
そうでしょ????

……

ないよ??
全面戦争のシーン。
ささっと説明して、割愛だよ?
俺、ほんとうに目を疑った。

もちろん前半とかに激しいカーチェイスシーンもあるし、今までにない新しいアクションも観られる。
それは良かった。事実。

だし、作品名にもある通り、あくまで主眼は過去を語ることによる「フュリオサ」というキャラの深掘りが目的なわけで、車をぶっ壊す為の映画じゃない、というのもわかる。
わかりますよ。


でもね!!!
とは言え、とは言え最後の最後で大量の車とバイクが全面衝突するのが観たいに決まってるし、前作はカーチェイスのボリューム(=破壊される車&バイクの台数)が上がり続けてたわけだし、設定や話の展開からしてどう考えても最後に全面衝突するとしか思えないし、そして「あり得ないレベルのカーチェイスを全部CG無しでヤる」ことに定評があるジョージ・ミラー様に全員が期待してたわけで、まさか、まさかそれが全く描かれないとは夢にも思わなかったんだよ!!!!!


メインディッシュを抜かれた気分だよ!!!!!!!!

前菜がピークだったのか!!!!!

「冷静じゃない」って!?
その通りだよ!!!!

「めんどくさいファン」だって!?!
あぁその通りだよ!!!!!

車を、バイクを沢山沢山ブッ壊しておくれよォーーーーー!!!!!
うわぁぁぁぁぁぁ!!!!



………はい。
まぁ、キャラ紹介深掘りムービーとしては楽しめるとは思いますよ。
これだけ喋らせても人物像がブレてたりしてないのは、なんだかんだ凄いのかもしれない。

これは、「MADMAXという神話」に取り憑かれている人ほど肩透かしを食らうんじゃないかしら。


「"期待してたのと違った!"とか言って文句付けるウルサイ映画ファン」という存在が本当に好きじゃないんだけど、まぁ、今は俺は完全にそうなってますよ。
しかし己を醜いと知って尚、これを美味しそうに平らげることはできないもんですね。



終盤、「さっさと殺せ、長引くだけだぞ」みたいなセリフがあったけど、まさに同意見でした。
悲しいよ俺は。

このミスマッチはもちろん俺が悪いんだと思うけど……まぁそれはそれとして、新作にノレなかったことが、ただただ残念だと思っている。

何より、ちゃんと(?)車で映画館に来たというのに、帰り道で爆走したい!!!ってならなかったのが個人的に一番ショックだ。
とっても安全運転で帰りましたよ。
あんぜん。
あんぜたかし。


なんか、ダメでした。
まぁ、ファンだから、もう2〜3回は行こうかなと思うけど、別にIMAXじゃなくていいかな。。。。
ロッツォ國友

ロッツォ國友