『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の前日譚である今作。
イモータン・ジョーの元からワイブスを連れて脱出を図るフュリオサの物語である。胸のうちに名前通りの激情や憤怒を秘めながら、虎視眈々と故郷へ帰る道を探ろうとするのだが、それは苦難の道となる。
前作で、シャーリーズ・セロンが演じ、強い印象を残したフュリオサであるが、今作のフュリオサの印象は思っていたより可愛くて、ちょっと見ていて心配になったけれど、台詞が少ないなか、彼女が母との約束を果たすために突き進む様は見ている側を惹きつける魅力があったと思う。(あと、目力の強さよ)
そして、今作でフュリオサに対峙するのは、クリス・ヘムズワース演じるディメンタスである。個人的にはこれっぽっちも共感できる部分のなかったディメンタスなのだが、彼の愚かな部分も弱い部分も余すことなくクリス・ヘムズワースは演じていたと思う。
ディメンタスとの対峙の後、フュリオサが何を思ったのか、そこは明示されていなかったように思うけれど、その答えはこの後フュリオサがとった行動に繋がっているのだろうか。
ストーリー、映像、世界観や出てくるキャラクターの皆々がこれぞマッドマックスといった演出で作り上げられており、広大な砂漠を舞台にしたカーアクションが満載なのだが、正直、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を見た時の衝撃は超えられなかった。(それを確信したのはラストに前作の映像が流れた時だ)
しかしながら、ジョージ・ミラーがつくるマッドマックスの世界観を楽しむことはできる一作になっているし、強い意志を持ち立ち向かうフュリオサに魅せられて、あっという間の148分だった。