KANA

マッドマックス:フュリオサのKANAのレビュー・感想・評価

4.2

やっと辿り着いた、女戦士フュリオサの前日譚。

前作に続きとんでもない熱量!!
内容以前に、没入しきれる世界観作りが本当に素晴らしい。
改造車たちの強烈なエンジン音とともにラリるようなライド感覚最高!
次から次に見せ場があり、アドレナリン放出されまくり。

そして今回はエンタメ精神は同レベルに保ったまま、キリスト教をモチーフに?繊細に人物像を描いていて、わけわからないままノンストップアクションというわけではない点が『〜デスロード』と違った。
つまり、良くも悪くも瞬間麻薬止まりでない。

幼きフュリオサ
巨大なバイカー集団のリーダー、ディメンタス
ああなって、そうだったのか…

ディメンタスがイモータンの砦、シタデルの下の方からマイク片手に交渉(脅迫?)する序盤のシーン、妙にシュールで笑えた。
ここ以降もディメンタスはキメキメだったりいかにも極悪人というわけでなく、どこかコミカルさを醸し出してて憎めない。
シリーズ通して敵役の絶妙な抜け感・おふざけ感はブレてないw

パンフのクリス・ヘムズワースの役作りの所を読むと、表面的には単純な暴君キャラのようで、そうなったにも理由があり、なかなか複雑なキャラということがわかる。
テディベアはメタファー。
フュリオサがどう感じたかに関わらず、彼女との共通項や父性的な気持ちも芽生え…

とはいえやはりフュリオサ目線。あくまで彼女に感情移入させる構造。
アニャ、野生的な目力が効いてた!丸坊主にして尚。
性別を隠すが故の声を出さない演技がミステリアスでもあり。
荒廃した世界の砂埃に溶け込むような媚びない気概。
これならシャーリーズからも合格点をもらえたのでは?

後半に登場する警護隊長ジャックはハードボイルドでいて優しくて、マックスとオーバーラップした。
彼との交流を経てのマックスとの出会いだったんだなぁとしみじみ。

種という伏線…
ラストの仕打ちというか"利用"の仕方はフュリオサら女性たちのしたたかさをすごく感じた。
ディメンタスはむしろ踏み台(養分)として、男性優位主義のシンボルであるイモータン・ジョーを倒すデスロードの展開にシームレスに繋がる終わり方…前日譚としてパーフェクト。

人物像、ドラマ、フェミニズム的観点…いろいろあるけど、
なんだかんだマッドマックスは世界観とアクションが醍醐味だと思う。
本作のスコアはIMAXでの体感加点込み。


p.s. マッドマックス史に浸り、ジョージ・ミラーの紆余曲折の歩みやブレないセンスなどとじっくり向き合えた10日間だった。
更なる続編The Wastelandの制作、実現してほしいけどどうかなぁ…
KANA

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