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マッドマックス:フュリオサのtoeのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

イモータン・ジョーが家父長制的で寡黙なマチズモの象徴なら、ディメンタスは多弁で調子者だが裏を返せば軽薄な男性性を纏っており、フュリオサが対峙する二人の権威男性の描き分けがしっかりされていて、ディメンタスというキャラが登場することに説得力があった。
特にディメンタスは、このタイプの男性の有害性を上手にかつ敵キャラとしての魅力(小物感ある愛おしさ)を損なわないまま描けている。
ディメンタスの振る舞いの軽薄さ(フュリオサが怒っていても軽口を叩き続けてしまう)は、観ていて男性として身につまされる感覚もあった。

アクションは相変わらず爽快で最高だが、
余韻もほぼなくぶつ切り気味にチャプターが変わって黒背景の白文字タイトル画面へ移行したり、ジャックの死の瞬間が曖昧にされているところなど、過度の共感や熱狂は意図的に妨げられているように見える。
フュリオサもディメンタスと同じように復讐のサイクルの一部でしかないとディメンタスが語るシーンでは、引き金を引けずに苦悩するフュリオサと同じように、観客に絶対に復讐のカタルシスを与えないという強い意志を感じた。

ラストのディメンタスの結末は、復讐のサイクルを生命や希望のサイクルへ書き換えるものであり、個人的にはとても満足、感心した。
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