完璧なまでに狂っていて深淵なエンターテインメント映画であった前作とは今作はだいぶ違っていた。今作では誰かが語る伝説のような章立て構成でフェリオサが怒れる大隊長となるまでの出来事が描かれていて、前作にあった爆走感はだいぶ後退していた。その分、神話のように紡がれる少女時代からの過酷なエピソードによって蓄積していくフェリオサの怒りが心に迫ってくる。
ただこの映画ではフェリオサがその怒りから完全に解放されていないように見えたのが消化不良だった。
それは前作の前日譚として十分に機能しているという事かもしれない。
アニャテイラージョイの非現実的な雰囲気は神話のような今作のフェリオサにとても合っていた。