有名な原作である「嵐が丘」の設定を鎌倉時代にして描いた作品。
松田優作の狂気の芝居と、当時の女優ならではの美しさと妖艶さが際立つ。
山部一族に拾われた鬼丸。
当主の高丸に気に入られてはいたが、長男の秀丸からは下人と言う事もあって、蔑まれていた。
そんな中、長女の絹に恋をし、ふたりはいい関係になる。
しかし絹はこのままでは巫女にならなくてはいけない為、鬼丸と肉体関係を結んだ上で、西の荘へ嫁ぐ。
そして領主の高丸が殺された結果、鬼丸は山部一族を出て行くのだが…
終始、幻想的で壮大で、且つ美しい風景が頭に残る作品。
そして、その非現実的な風景の中に、生々しい人間達が、人間らしい争いを続けるところがアンマッチで良い。
松田優作は本作に臨むのにあたり、能を学んだとの事。
口跡は置いておいて、所作は素晴らしいものがあった。
万人におすすめ出来る映画では無いが、個人的には大好きな部類に入る一作。
エロ文学系で恋に溺れる作品は邦画に多いが、そのジャンルの良いところを上手く使ってるなと思った。