るるびっち

総理の夫のるるびっちのレビュー・感想・評価

総理の夫(2021年製作の映画)
1.4
「痛みを伴う改革」という妄言を信じていた頃の話である。
消費税増税も痛みを伴う改革も、結局は貧困しか生まない。
本作で挙げたスローガンを信じている観客はいないだろう。

痛みを伴う小泉改革は、非正規雇用を増やし貧困化を招いた。
他国はコロナ後にGDPが上がっているが、日本は増税+コロナのダブルショックから未だ回復できない。
緊縮財政・増税思考は給付をバラマキと批判して、我が国では10万円を一度配ったきりだ。
太っ腹のアメリカは、国民に800兆バラまいて景気を回復した。
日本は利権組にはバラまくが、16兆の使途不明金がある。
貧乏人にはバラまかず、むしろ増税。社会保険料値上げ。
「生かさぬよう殺さぬよう」という江戸幕府の政策を現在も実行中。

本作での女性総理の演説内容は、消費税増税と痛みを伴う改革。
自民党と同じで、これが理想の総理ってギャグかなと思った。
結果は30年のデフレで、給料は上がらないのに輸入品値上げの地獄。
更に「改革」は日本を切り売りして悪くするだけと、この10年で国民は身に染みている。
水道まで民営化されたら、飲料水の安全は保障されなくなる。
理想の総理どころか、亡国の徒だ。
女性総理という以外は全て古臭いし、今では政策の誤りが解っている。
原作は十年前だから仕方ないが、映画は昨年公開。
映画人が政治と経済音痴なのを露呈した作品。

女性総理を支える夫が、金魚の糞にしか見えない。
総理の仕事を補佐する優秀な秘書でもなく。
留守の家庭を切り盛りするスーパー主夫でもない。
互いの存在を尊敬しあい、それぞれの仕事にエキスパートな自立した夫婦という訳でもない。
丸で巨大メスアンコウに寄生するオスアンコウのようだ。
(提灯アンコウのオスはメスの体にゴミみたいにくっついて、メスから養分をもらって生きている)

スーパーウーマン中谷美紀に寄生するボンクラ。
ボンクラ故にハニートラップに引っかかるアンコウ夫。
優秀なファーストレディならぬファーストジェントルマンとして、内助の功を発揮する訳でもない。
こんな夫要ります?

女性を信じて、必要以上に何もしないのが理想の夫ということを原作者は言っているようだ。
それって、妻をママにする日本の男たちの姿そのものではないか?
何もかもママ任せにして、夫を無力にしている。
妻が母親化するのが、理想なのだろうか?
それなら、殆どの日本の夫婦は実現済みだと思うが。

しかも女性の職場での活躍をテーマに、女性総理が妊娠したらどうなるかという趣向を入れているが、結果は敗北でしかない。
海外では女性大臣が妊娠しても、政界からハネられることはないだろう。
理想論を描いた小説ですら、それがクリアできないなら、どれだけ日本は遅れているんだ?

タツノオトシゴは、メスがオスの腹に卵を産み付けるという。
田中圭を鳥の研究者ではなく、人工子宮の研究者にして自分のお腹に人工子宮を取り付け、女性総理の代わりに出産代行すればよい。
それでこそ内助の功じゃないか。
妊夫として田中圭が悪戦苦闘するなら面白い。出産の苦しみも味わえる。
少子化問題に口ばかりで、やる気のない男性議員たちにも出産代行して貰えばよい。本気なら体を張れ。
森元総理も身をもって体験すれば、女性蔑視発言も減るだろう。
これこそ痛みを伴う改革だ。
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