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ある人質 生還までの398日のabx155のレビュー・感想・評価

ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)
3.7
ISに拘束されたデンマーク人の写真家・ダニエル・リューの13ヵ月の人質生活と、ダニエルの家族が救出に奔走する姿を描く実話に基づく映画。

2011 年、民主化運動「アラブの春」がシリアにも広がり、民衆の抗議活動が始まるとアサド政権は政府軍を使って弾圧。しかし政府軍の一部が反発して自由シリア軍を結成して反政府軍を結成。そこからさらにさまざまな過激派組織が介入し、シリアは内戦状態となる。

ダニエル・リューが拘束されたのは2013年5月。日本人ジャーナリスト拘束のニュースが伝わってきたのは2014年8月で、その当時、拘束された人質がどのような生活をしているのか不明だったけど、この映画を観て、いかに悲惨な生活を送り、人権を無視した扱いを受けていたのかがよくわかった。

また、ISが人質に対して法外な身代金を要求して、得られた身代金を資金源にしているため、国家として要求された身代金を払うか払わないかの判断が分かれるのが興味深かった。デンマークは身代金を払うとさらなる拘束が続くとの判断で身代金を支払わないとする立場。よってダニエルの家族は資金集めに苦労することになる。アメリカや日本も同様の立場で、フランスは国家として身代金を払っているようだった。

また人質解放のプロであるアートゥアを通したISとのやりとりも見応えがあった。身代金交渉で実際にどのような人物がどのように動いているのか不明だったけど、この映画を観ることにより一例かもしれないが知ることができた。

ISは2019年に壊滅したことになっているが、元戦闘員によるテロは今も世界中で散発的に発生している。イスラム過激派によるテロとの戦いは今も続いていることを改めて気付かせてくれる映画だった。
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