ほのか

ある人質 生還までの398日のほのかのレビュー・感想・評価

ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)
4.0
秤にかける

自分・息子・兄弟の命と、財産と、
国と国民の意思と、自分の意思と価値と、
払ったお金の使い道と、それによる犠牲を。





またこれも絶対正しくないひとつのことに対して、どの答えも正しいのにどの答えも足踏みをさせる大きな理由がある、唯一の答えがない問題。どの選択をしてもチリッとした痛みが心に残ってしまう。あの時、私はテレビでニュースを見ながらどう思ったっけ。

余裕がある時の方が怖い。逃げ出すことが得策なわけがない。これは映画だから、まだこの映画始まったところやでとか展開的にここで逃げ切れるわけがないってわかってしまうので、もうそこは観れんかった。怖かった。でもいざその場で余力があってチャンスがあったら動いてしまうよなあ。たぶん。

マスクを下ろしたジョンの顔を写した意図はなんやったんやろう。あの間は観てる人たちに何を考えさせたかったんやろう、この人たちは人間やって、そういうこと?まだ歩み寄れるん??そんな時期はもうとうの昔に過ぎ去ったかと思ってたわ。

「アニタ、行こう」がほんとにほんとにすきだったな。アートゥアはダニエルと家族が直接関わってるところを見たことがなくて、ダニエルのために必死になって動く様子しか知らなくて、彼女が自らの子供を育てながらどれだけの熱量を燃やしたかだけを知っている。遠慮するアニタに提案じゃなくて、手を差し伸べるのがもうとにかくこの映画で唯一完璧な選択だった。アートゥア、常に冷静で超かっこよかった。



この前The kindness of strangers観た時に、めっちゃ顔かっこいいお兄さんなのに腹立つ男…DV男ゆるさん…って思って見てたエスベンスメドジェンセン、こんな…ここまでひどいめにあわせたいわけではなかったんや……って思ってしまうほど心身ともにボロッボロになってた。なんかスマンかった。