70〜80年代アメリカでコメディアン兼ミュージシャンとして活躍したチーチ&チョンが脚本・音楽も務めた初主演作。大麻中毒二人組のローテンションなお笑いロードムービー。監督はママス & パパス、キャロル・キングのアルバムや「ロッキー・ホラー・ショー」(1975)を手掛けた音楽プロデューサー、ルー・アドラー。
カリフォルニア。音楽好きの中年ペドロ(チーチ・マリン)は家庭が面倒になり車で家出、道中で出会ったオトコ(トミー・チョン)とマリファナ好き同士で意気投合しハッパを決めながら旅に出る。一方、マリファナ密輸団の摘発を目指すステデンコ警部(ステイシー・キーチ)のチームは懸命な捜査を続けていた。ペドロとオトコはバンドを結成して儲けようとL.Aのロック・フェス会場を目指すが。。。
閣下殿にご紹介頂き鑑賞。
二人組の音楽コメディと言えば同時代の「ブルース・ブラザース」(1980)が思い浮かぶ。クライマックスにライブ・ステージを目指すのは本作も共通しているが、空気感はまるで違う。ブラザースの目的は孤児院の救済で、チーチ&チョンの目的はマリファナである。
本作は全編がマリファナまみれで、主役二人も演出もいい加減でグダグダなのを貫き通している。モラリストから見たら何が良いのかわからないと思われるが、高円寺や下北沢あたりの古着系音楽カルチャーの住人にとってはストリートスタイルを極めた夢のような映画と言えるだろう。何しろ後半に二人が乗る車は成分がマリファナで出来ているのである。
個人的には下ネタのコメディが苦手なので心から楽しめたとは言えないものの、サブカルの一大ジャンルである大麻カルチャーを体現した一本に触れることが出来て大きな意義があった。
先日観た「センチュリアン」(1972)で悲劇的な殉職警官を演じたステイシー・キーチが、本作では銭形警部のような元気な警部を演じていて何か救われたような気分になった。