バインドー

セブンのバインドーのネタバレレビュー・内容・結末

セブン(1995年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます


⚠️(ちょっと真面目なセブン考察を書いてみる、長文)
フィンチャー監督の映画ではこの映画が 頭一つ抜けて好きです。素晴らしい演出、演技、そして何より 文学性のある脚本 どこを取っても痺れますね。

セブンは果たして暗いだけの映画か?僕は始めて観たときはそう思いました。しかし見返してみると、待てよこれは とても前向きでポジティブなメッセージ性もある 文学的な作品なんじゃないかと思うようになったわけです、何故なら フィンチャー監督は(おそらく雑誌かネットインタビュー)で「私は映画館用にかける映画は作っていない 家で何回でも楽しめる映画を作っている」みたいなことを言っていました。だから 彼の作品は何回も何回も 観ていくと 本当はこうゆう事を言いたいんじゃないのかな〜というのが、 だんだんと見えてくる映画が多いんだと思います。

セブンがどのような映画なのかと 自分なりの解釈から言うと

“老サマセットが、若いミルズにメロメロになるが、犯人ジョンドゥに引き裂かれる物語”

です

この映画は 始めサマセットのメトロノームから始まります、彼のキャラは厭世的で世界の不条理を見過ぎてしまったがために、疲れているのです。メトロノームは彼が世界に対して決めつけている 見方そのものです。
そんななか新人のミルズがやってきます、いかにも物事を何も分かってない感じで 子供っぽくちょっとヘマしそうな雰囲気がプンプンしてます。
サマセットはそんな彼を見て、この世界ではやっていけない ヘマをするなと念を押します。ミルズもあんたがボスだといって二人は一緒に事件を捜査することになります。(始めて僕がセブンを観た時見終わった感想として、この関係性は完全にベテラン サマセットが上で、ミルズはヘマをやりそうで 最後まぁ犯人を殺したヘマやった奴みたいな感じで ミルズを下に見てました)

でもここで見返してみると この関係性は逆だなと思ったわけです。
後半になると ミルズは令状なしに犯人の家に踏み込みます。これにサマセットは大反対 しかしミルズはホームレスの少年を使い うまく捏造して、令状なしの踏み込みを合法に持っていきます。
ここでサマセットの意識が変わり始めます

“こいつやるなー”

と そこからは
ミルズが輝くこと輝くこと
現場を完全に指揮して 電話がかかってきたら、配線を探って見つけてみたりと大活躍でした。その後二人はバーに行きます、

この後半のバーでのやり取りが この映画のミソの部分です。サマセットは
“関心を持つより無関心を決め込む方が楽だ”
”稼ぐより盗む方が楽だ”
”おまえはウブすぎて何も分かってない”
みたいな事を言います。

そこでミルズは言うのです

”あんたは、世の中をそう思うから辞める(逃げている)わけじゃない,
辞める(逃げている)から そう思いたいんだ”
“俺に同意を求めてる 世の中は最悪だってな”
”だが俺はそうは言わない”
”あんたに同意はしない 出来ないよ”

ミルズはここで 俺は戦い続けるよ!
と言うのです。

そこでサマセットはその言葉に打ちのめされます。

完全に打ちのめされるのです。

その後すぐにサマセットは、
今まで”世界は残酷だ””俺は間違っていない”という考えの象徴でもある メトロノームを壊します。
そしてナイフを手に取り戦うと決意するのです。(このナイフはバトルロイヤルのナイフと同じ意味合いかな)

そして ミルズこそ希望であり 光である この男についていけば 私は変われるかも知れない!
そう思い、ミルズを尊敬し崇拝するようになるのです。(ジョンドゥもミルズは偉い 立派だと言っている)
※ ジョンドゥはミルズの輝きに”嫉妬”している 純粋に彼はミルズの輝きが許せず、黒く塗り潰したかったのでしょう ミルズを殺すのは簡単です。ですが、それではジョンドゥの負けになる。だから 彼はミルズを生かし”憤怒”のターゲットに選んだ

(この映画の世界でパワーバランスを表すと
ミルズ>>>>>ジョンドゥ=サマセット=トレーシーみたいな感じになるでしょう)

そして 老サマセットは、若いミルズに対してこう言うのです。

”私はもう少し捜査に残る”
”もう数日 相棒でいたい私の頼みだ”

もうミルズにメロメロなのが分かります。
ミルズは初めから変わっていませんが、サマセットは大きく変わりました。

ミルズは人を変えたなんて意識も持ち合わせていないでしょう。(ここがミルズの格好良さでもあり、トレーシーとサマセットとジョンドゥを惹きつける魅力でもある。)
そして 二人は対等になり胸毛を剃りながら ジョークを言い
笑いあえる仲になるのでした。”散々 ミルズの事を、あまちゃんだと見ていたサマセットが、ミルズさんその乳首のギャグ面白いっすね〜となる瞬間です。😂
(あそこで、ミルズが俺は、、、と言い その後を言わないのは、もしかしたら弱音を吐こうとしていたのかもしれません。彼も神でも英雄でもない人間なので)

そしてそこからは例の最悪のエンディング。
サマセットはまた信じたものが崩れ去っていくのを感じたんです。
そして

“この世は素晴らしい 戦う価値がある”

後半だけは賛成だと言い 去っていく サマセット。

トレーシーは 犬と戯れるミルズを見て こう言いました
“彼は楽しい人”
そうこの映画において
彼だけが”楽しい人”だったのです。

セブンはそこに憧れた 人間たちのお話だと思います。
僕が思うに セブンの言う”戦う”とは
“楽しい人”になるべく”戦う”ということであり。辛くても まぁ、信じ、愛し、楽しく、明るく、元気に、健やかに、そして真っ直ぐにという事を忘れなさんなよ!というのが、僕の”七つの大罪”以上に感じた映画セブンからのメッセージ性でした。
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