すわ死体から始まる物語か! と思ったが、そんなことはなかった。“自分が認識している2人の関係性”と“第三者から見た2人の関係性”の間にある埋まりようもない差異は、“三角関係”よりも、“二股”という状態の上でこそ際立つような気がする。
作り手が意図している部分ではないかもしれないが、アパートのベランダから見下ろせる道を挟んだ向こう側が塀によって“見通せない”点が、ミニマルな範囲で語られる本作に合致していた。状況的には修羅場なのに、芹澤興人さんが演じる人物の言葉には、思わず笑ってしまうユーモアがあった。