ナーオー

ダーク・アンド・ウィケッドのナーオーのレビュー・感想・評価

5.0
どう足掻こうと最初からもう詰んでいるタイプのホラー映画の新たな傑作。

2021年も終わりに近づいていますが、
ここに来て、とんでもない映画がやってきた……

これまで観てきたホラー映画の中でもトップ級にむちゃくちゃ怖かったです……
関わってはいないものに関わってしまったという「ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷」やNetflixドラマ版の「呪怨」、「フッテージ」系統のホラーですが、その中でも特に陰鬱だったと思います。最初から最後までただひたすら不安と恐怖を掛け立てられ、夜はもちろん、昼間でさえ油断できないくらいの恐ろしい映画でした……

観た後はぐったり……

ストーリーは主人公たち兄妹が体験する最悪な1週間を描いていますが、月曜日の段階から既に詰んでいるというまるでリドリー・スコット映画のような究極の鬼畜っぷり。

前半は真綿で首を絞められているような、じわじわ怖い演出が散りばめられていて、ただでさえ怖かったですが、"水曜日の夜"から… 心臓が止まりそうになるくらい震え上がりました…… 本当に怖かった……

そして"木曜日の夜"…
ここでのホラー演出はホントフレッシュ!
"見てはいけないもの"を見たときの長男役のマイケル・アボットの表情かいい!驚いて声を上げるとかではなく、ただギョッとして"それ"を見つめるだけ… "存在"を信じざる得なくなってしまった彼の演技がとても良かったです。後半の彼の行動はたしかに最低ですが、自分でも同じことをしたと思う…

舞台となる荒涼としたテキサスの風景がこれまた不穏なムードたっぷりで、こういう田舎特有の閉塞感も良かったです。

ただ「ザ・グラッジ」や「フッテージ」のように意図的に謎が多く残る作品なので、1から10まで全部説明してほしい人には不向きかも… 個人的にはこういう人間の力ではどうにもできない、理解不能な得体の知れないモノが怖いので、この作風は大好物です。

久しぶりに心の底から"怖い!"と思えるホラー映画に出会えました。
ナーオー

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