もやんぐ

声もなくのもやんぐのレビュー・感想・評価

声もなく(2020年製作の映画)
4.5
テインは少女と出会うことで初めて社会というものに触れてしまったのだろうな。
ソトのものがウチのものに触れた時に起こる何か、ファンタジー描写でありながら、社会的な弱者(障害、貧困、子供である)の現実を突きつけてくる。胸が痛くなる。でも清々しい。美しい。
『こえもなく』というタイトルは、テインの障害のことを指すのではなく、社会から取りこぼされてきた者たちの声、私たちが聞こうとしなかった声達のことなんだろうなと。
チョヒの担任の先生との触れ合い方と家族が迎えにきているのに走り出すことなく、会釈して迎えるシーンの対比。
チョヒは一貫して、賢く、強い。
テインとムンジュ、そしてチョヒがしあわせになれる世界であってほしい。
ホン・ウィジョン監督の次回作にも期待したいです。

こう書くとなんだか、思い詰めた感じの映画に思えますが、クスッと笑えるエッセンスも散りばめられており、とにかくバランスがすばらしい映画でした。
もやんぐ

もやんぐ