そむ

声もなくのそむのネタバレレビュー・内容・結末

声もなく(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

吐息と動きと表情だけで魅せるユ・アイン!

誘拐されてきたチュヒがユ・アイン(ごめん、役名が分からない!)の顔色を窺い、率先して家の中を整え、ムンジュの面倒を見たり「礼儀」を教えたりするの、実の家でもこうやって生きていた、生きることを余儀なくされていたことが垣間見えて地獄。
養鶏場の電話のやり取りがまるで『赤毛のアン』の冒頭のようで、行き場を感じられない(いや、この人身売買の場面で行き場を感じたって困るんだけど!)チュヒの虚無の表情が辛かった。
助けを求めるのさえ命がけで、結果的に本当の警察だったけど、すがった先がまた別の地獄かもしれないチュヒの絶望、ここもまた地獄。
ラストの家族を見た一瞬の安堵の笑顔がスッと消えて、「結局はどこにいても変わらない」ことを察した表情になったのが辛い、まだあの子は小学4年生なんだぞ。
このクローズドな空間の最強者であるユ・アインも、一歩家の外に出れば社会的弱者で、その兄貴分であるユ・ジェミョンもそうで……と、社会的ヒエラルキーを感じずにはいられない。

地獄を的確に表現して、実は主演はこの子なんじゃないかと思い至らしめたムン・スンア、すごい。
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