遊

ドライブ・マイ・カーの遊のレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
5.0
良かった、などという生易しいものではない
179分ずっと画面に釘付けになりながら口は開いたまま観てた
帰り電車乗らずに2時間かけて家まで歩きながらぐるぐる考えたくなるほどのパンチ力 それでいて作品自体は静謐の極致

高槻役を岡田将生、って知った時これ以上ないキャスティングだと胸を躍らせていたが、そのハードルの遥か上を跳んでいく高槻が居た 神がかっていた 岡田将生はこの役に辿り着くためにここまでやっていたのかと勝手に思うほど メゾンドヒミコのオダギリジョーの時も似たようなことを思った

村上春樹作品も小説そのものも大してたくさん読んでないけど、村上春樹の扱うテーマと表現の方法に自分が多大な影響を受けていると映画を観ながら再認識した

他者を理解することの不可能性、それでも生きていくということ、同じテーマを繰り返し繰り返し書き続けて それが飽和せず変化と深化を続けていくこと めちゃくちゃ理想だな

スクリーンの前でこちらが身動きを取れなくなってしまうような、核心に迫るシーンでの表情のクローズアップ(タクシーの中の岡田将生凄すぎた)でカサヴェテスを、心を奥底から揺さぶってくるような台詞が長い会話の中でポンポンと惜しげもなく乱発されていくところでロメールみをひしひしと感じ、これが噂の濱口竜介か...諸手を挙げて降参!という気分になりました 本当にありがとうございました
遊