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ドライブ・マイ・カーのlinenのネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ネタバレのつもりはないけど、何を書いてもネタバレになりそうで…
「村上春樹原作」「戯曲」「文学作品」「3時間」ハードルが高そうなイメージで鑑賞を躊躇ったが、話題作だしチャレンジ精神で。杞憂に過ぎず、難解な事柄を丁寧に噛み砕いてる描写で楽しめた。途中ダレる事なく全集中で鑑賞。
主演家福を演じる西島秀俊さんを想う。何年もコンスタントに精力的に色んな作品に出演されてる。朝ドラも映画もどんな役もそつなくこなす姿に、この家福役が妙にハマる。良い人そうでありかつ腹黒そう、器用そうで不器用そう、ジェンダーレスな要素もあり捉え所ない中立的な感じが鑑賞側にとって寄り添いやすいのか…つまり名優の成せる技⁉︎
後日記事で読んだが物語後半はコロナ禍の中、想定していた土地で撮影は出来なかったとの事。家福の愛車赤のサーブに乗車してのシーンが多く、一緒に乗車している様な感覚。広島から宿に向かう瀬戸内の沿岸のくねくね道も、北海道までの薄暗い道中高速道路のトンネルも、バランスを崩していた自分に気付いた家福の人生を彷徨ってる様だ。エンジン音に初めは車酔いしそうになるも、徐々に慣れ鑑賞側も共に旅をする。
家福がチェーホフの「ワーニャ伯父さん」を演じる事でのカタルシス故の感動。稽古に本読みする作業も丁寧に。ロシア文学の戯曲に、一部分かもしれないが映画を通して解釈に触れる事が出来たのは思わぬ収穫だった。
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