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ドライブ・マイ・カーのakubiのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
5.0
わたしたちは完ぺきにはお互いのことは分かりえない。ただ、わかることも、あるかもしれない。抗えない(抗えなかった)死の気配をつねに感じながら。煩い沈黙を流して。やるせない日々を嘆いて。
「わたしたちは生きてゆくほかないんです。」
自分を閉じこめたまま他人を知ろうと。? わたしはまだ他人をころしてはいないけれどとっくにじぶんをころしていた。
喪失と救済とそして再生。探していたことすべてを、そこにみつけた気がした。みさきがあの家でしったささやかな煌めきのような。ぴかぴかと眩しい長いトンネルの出口のような。もふもふしたやわらかいいきもののような。
あの場所に積もった雪の上で抱きしめてもらったみたいに、わたしにはこの映画が救いとなった。きっとそれぞれの救いがどこかでたとえそれがささやかなものだとしても、見つかる。そんなふうに信じているし願ってしまう。烏滸がましいけれど。
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