原作の設定だけを使ったほぼオリジナル作品。村上春樹作品の映画化ってことごとく失敗してるので期待半分だったけど、短編から膨らませ、原作の空気を纏わせなから、よくここまでつくったなと感心してしまった。これは脚本賞取っていいと思う。
妻の声がぜんぜん良くないのが最初ものすごくひっかかって、ビジュアルで選んだけどこの作品で一番大事なのは声なのになーなんて思ってた。
でも、後半に進むにつれ、妻の死から逃れられない家福とその声にずっと引っかかってる自分がリンクした。これを狙いでやったとすればすごいことだと思う。
文句があるとすれば、ドライバーと家福は抱き合っちゃいけないと思う。ちょっと映画的見せ場を狙いすぎたかな。
-追記-
不意にあるシーンを思い出して「あ!あれは狙いだったんだ」と気づいた。違和感があったのは、MSARで録ったのかと思うほどの声のてざわりだった。その生々しさは、画面に映っている人物より存在感があり、後半には不在を感じさせるものとなった。