マリコ

ドライブ・マイ・カーのマリコのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.2
三時間も上映していたんだと、上映後に時計を確認して気づいた。冒頭からエンドロールまで、全く退屈しない作品でした。
妻を突然亡くした、舞台俳優の話。舞台制作の依頼を受け、自分の愛車で仕事先の広島を訪れた主人公の家福。主催者側より運転を禁止され、その代わりにドライバーとして若い女性が家福の車を運転することになった。彼女との出会いや舞台制作の過程の中で、家福は自分で蓋をしていた妻への気持ちに向き合っていく。
ハッピーエンドではないと思う。辛く苦しかったことが、やっぱり辛く苦しかったことだったと気づいてしまったから。自分を保ちながら日々の生活をまわすためには、蓋をするしかないこともあるしね。でも、自分の中の思いに触れて迎えたラストは、少しの希望があって救われた。演じているみなさんはそれぞれしんどかったと思います。
久しぶりに映画館で見た作品がこれで本当に良かった。

余談ですが、自分が雪国出身だからなのか、冬の北海道をあの車で走るシーンにヒヤヒヤして、スノータイヤなのか、四駆なのか、本気で心配してしまった。そのときだけ妙に頭が冷静になりました。
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