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ドライブ・マイ・カーのこたつムービーのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
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ドライブ・マイ・カーを観た。
コンテキストのとても豊かな映画。これほどアバンタイトルの長い映画にも出会った試しはない。劇中劇にゴドーとワーニャ伯父さんが多言語で出てくる。本読みは(当然だが)「コールドリーディング」だ。

正直「こっち」系で語りたいことは山積みだが、なにより物語自体とこの演出法は直結している。
つまりテキスト(他者)を「正しく」どこまで受容れることができるか、という映画であり、人間のブラックボックスについての物語だから。

ここにおける岡田将生がまた素晴らしい。噛みキレない「負」を抱える役を誠実に演じていた。それと開巻第一カットの霧島れいかのシルエットたるや。極めて純度の高いカット1だ。

劇中車はサーブ900。最高よ。よく手入れされてて見てて目を細める(個人的にはS900はカブリオレがもっと最高)。
ドライブマイカー。
直訳すれば「私の車をドライブして」。
誰が運転し、誰が後部座席で、助手席か。
思えば車の数だけ人生もある。むろんメタファだ。語りたくなる映画だ、マスト・シー。