デヒ

ドライブ・マイ・カーのデヒのネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

長い道路を走る車のように人は長い、長い道のような時間を生きていく。

村上春樹の小説『ドライブ·マイ·カー』を元ーに制作、劇中演劇はアントン·チェーホフの喜劇『バーニャおじさん』
良い意味で、一編の小説を読んだように没入度が高い。2回観たけれど、これからも観たいくらい好きな映画。
序盤、家福の奥さんの音が「まるで海の中にいるようだ」と言う。私はこの台詞を借りて映画のことを「海の中」と表現したい。映画を一つの文章で表現すると、序盤は水中の深いところに抑えつけられていた感情が音の死を死をきっかけで様々な波に巻き込まれ、後半は家福と美咲の共有を通じて感情が水面上に浮かび上がるようになり、演劇の中のエレニャの台詞のように、ゆっくりと何も起こらなかったように波が静まる話だと思った。 最後の美咲の姿のように、水の上に浮かんだ何かは、波に沿って流れて、新しいどこかにたどり着くだろう。彼女のかすかな笑いは、水面に浮かんで明るい太陽の光を見たような気がした。

ただ音の音声が録音されたカセット・テープの音声だけが流れた車内の静寂を破ってお互いに話しかける場面。カセット・テープの音声は、だんだん小さく聞こえたり消えたりすることになり、会話の音声でいっぱいに。家福と美咲の二人の関係変化がはっきり表れるシーンだったので好きだ。

演劇の場面、国籍の異なる俳優たちが一つの均一な話に合わせて各国の言語で台詞を言いながら演技する。何か流れが自然でありながらも、台詞の意味が少しずつ違うような気がした。
物語理解において台詞伝達も必然的であるが、それよりも身ぶりや視線などを通した理解と響きが優先的ではないかという演出を感じた。例えばエレニャ役のイ・ユナさん。言語の障壁を越えて皆同じ人間であること。皆感じる感情は同じ。

俳優たちの演技は大変素晴らしかった。美咲を演じた三浦透子さんは映画を観て魅力的だと思ったのでネットで検索してみたら、歌手の方だった。本業が俳優だと思っていた。もうファンになったみたい。
岡田将生さんは最近見た劇映画が『さんかく窓の外側は夜』だったが、全く異なる雰囲気だ。ものすごい演技力を感じた。
西島秀俊さんは言うまでもないし。声がよく、台詞がよく聞こえて良かった。

本当に何回でも観たい映画。

生き残った者は亡くなった人のことをずっと思いながら生きる。生き続けなければならない。生きていこう。
デヒ

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