アビルキイチ

ドライブ・マイ・カーのアビルキイチのネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

映画を見ながらも、小説を読んでいるような感覚になる。
一般的な映画とは種類が違うので評価が難しい、手放しで高評価はできない、といったところだ。エンタメ要素はない。カタルシスとかも人によりけりだがあまりない。
風景の日本らしい美しさ、一つ一つのシーンの構図の緻密さ、などは素晴らしいものがある。カメラと演技による表現がいかに奥深く多様かを知らされた。また、人は美しい風景や美しい絵に心を打たれずにはいられない生き物なんだなあ、と。
芸術性に振っている点、多国籍である点、などから映画祭向けの映画といった感じは見受けられる。
ツッコミどころが多いが、そもそも一般的な映画ではない、これが村上春樹なんだと思えば許せなくもない。
車、というものはこの作品で何の役割を果たしているのだろうか。人と人が互いの胸中を告白し親密になっていく場所だろうか。その過程で、車の中から見える外の景色がどんどん変わっていくのと同じように人が世界をどのように見るかも変わっていく、そんな暗喩だろうか。