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ドライブ・マイ・カーのなのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.6
普段邦画をほぼ観ない、村上春樹の作品も読んだことがない(この好奇心の無さは反省すべし!)のだけど評判の良さに惹かれて鑑賞。

3時間という尺の長さ、「いくら劇場離れが進んだとて、映画館に長時間拘束させることこそが劇場離れを促進する愚策では」と思っていたのが、全然集中力が途切れずに3時間完走。

画の美しさや演技力もあれど、セリフのシャープさが個人的にポイントだったと思う。
原作の力なのか脚本の力なのか監督の力なのかはわからないけども。登場人物の、演劇の、一言一言が過不足なく散りばめられている構成がまず美しすぎる。

話の内容はというと、セリフに余計な説明がないからこそ、作品の内容を抽象化して自分の中に落とし込むまで時間がかかりそう。
でも、深い人間関係を築くことの大切さ、仕事へのプロ意識、亡くなった人の思い出を背負って生きる使命、みたいなメッセージは強く感じた。

そして終わり方が示唆的だなあとじわじわきている。
音さんのことを赦すでもなく受け容れるでもなく、ただ「会いたい」「話がしたい」と言うところに愛情を感じる。
そして彼女からの愛情もまた本物だったのだと思う。でないと事故のあとにあんなに心配しないし、いってきますのキスもできない。

一面的で清廉潔白であることが求められる現代へのアンチテーゼなのかな。ネットではいくらでも綺麗事は言えるよね
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