トモヤムクン

ドライブ・マイ・カーのトモヤムクンのネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

映画と言うよりか
小説や脚本を読んでいるのよう感覚。

【本作のレビュー】
鑑賞中、
1番に最初に感じたのは音楽がない事です。
本作が脚本、演劇を主題に置いている為か、
タイトルが流れる所以外は
ほぼ音楽が流れません。

また本作は現在進行系でストーリーが進みます。
主人公の家福に加えて登場人物のほぼ全員が
過去に何らかの傷や失敗を抱え人達ばかりです。

よくある作品ならば回想に入り、
1人ずつの心情を丁寧に描かれますが
本作では主人公の家福でさえ、
妻の間に起きた災難も現在進行系の
会話劇のみで演出されます。
なので台詞が説明口調で
少々わざとらしい感じがします。

ですが
会話でしかストーリーが進まないからこそ、
実際の話、
相手の心情を理解するには会話のみでしか
受け止める事が出来ません。
この世界に回想等を踏まえる事も出来ません。

作品として回想がない分、
完全に理解しながらストーリーを進める事は
難しいかも知れませんが

回想を省いた分、
淡々とストーリーが進む為、
映画と言うよりも、
小説や脚本を読んでいるのような感覚でした。

本作は決して大きな言動が起こらず、
ただ静かに目の前に起こっている事を
理解しながらだだ見詰めるだけ。

でも気付けばこの世界にのめり込み、
約3時間があっと言う間でした。

本作は先程も言った通り、
現在進行系の会話のみで話が進みます。

ラストの家福が妻に会いたいと泣くシーンも
本来なら回想入って、
奥さんが家福に対して
何を言おうとしてたのかが
なんらかの形で明かされ、答え合わせされる
感動的なハッピーエンドを迎えますが
本作では家福と渡利がお互いに
死んだ人の想いは今になってはわからない為、
自分達の都合の良い形に形勢し、
お互いに傷を舐め合いながら
これからも生きて行かなきゃいけない。
と言うのは実際問題、
妙にリアルだと感じました。

本作はPG12に指定されている為、
邦画にしては攻めた言動があります。

また人が生きる中で必ず訪れる『死』。
それを残された者達にフォーカスを当て、
残された者達がこれからの人生を
どう生きて行くのか?
模範解答のない、その難題に
リアルな切り口で幕を閉じる、
淡々と静かながらにその根っこは
温かい作品でした。
トモヤムクン

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