鍾馗

ドライブ・マイ・カーの鍾馗のレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.2
【ドライブ•マイ•カー】
劇場で見るタイミングを逸していたが、ご厚意のムーブオーバーでポレポレさんが上映してくれている。
キネマ旬報一位とか、カンヌ国際映画祭で賞獲ったとか、アカデミー作品賞ノミネートとか、いろいろ話題だけど、私が興味あったのが、西島秀俊演じる主人公が舞台演出家で役者という設定の部分。これは見なきゃならんでしょ。
という訳で火曜の夜にまちポレへ。
で、見たらばこれが凄かった。
で、いざ書こうとしたんだけど、なかなかまとまらない。
でも、ここだけ書かせて。
まず、劇中劇でベケットの【ゴドーを待ちながら】とチェーホフの【ワーニャ伯父さん】が使われてるのだが、これが見たことのない演出方法で上演されている。こんな方法があったなんて…。
しかもこの映画自体がワーニャ伯父さんの内容とかセリフになぞらえて進んでいく。
そして劇中劇を演じる役者のセリフにも、芝居に携わる者(劇団いわき小劇場所属)にはグサグサ刺さる言葉が出てくる。
「こころが入っていないと、前の人のセリフは私のセリフを出すキッカケでしかない」とか
「台本の前に自分をさらけ出せ」とか。
細かいてにをはは覚えてないけど、まぁそんな感じで迫ってくる。
いや、ちょっと【演劇というもの】について考えさせられてしまったな。

映画自体は3時間。
長いけど、演劇の要素があって、多様性の要素があって、ミステリーの要素があって、性的な要素があって、それでいてこのご時世に逆らってタバコがいい感じの演出になってて。
で、その根底に見えたのは私には「みな、苛まれながら生きているんだな」ってことだった。
飽きない作品だ。

そろそろレンタルも始まるそうです。
ぜひご覧ください。
鍾馗

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