3時間もあったにしては全体的によくまとまってる印象でした
本作を、村上春樹節が存分に発揮されてる春樹パートと、ドライブパート、演劇パートに分けてレビューしてみます。
序盤の奥さんが亡くなるまではまさに春樹パート。オープニングの逆光のシルエットとかいいなぁとおもったけど、人物の大事な部分の発露をセックスと絡める春樹節の健在っぷりに1キモス(謎単位)でした。
そのほか、代表的な春樹シーンと感じたのは、岡田将生との会話シーン各種と、ラストの北海道でのドライバーとのシーン。
文章で読むといいのかもしれないけど、春樹節で会話する内容の薄さに、これも1キモス発動。最終的に、自分の気持ちをちゃんと伝えとけばよかった、みたいなとこに落ち着くのこじらせすぎで引く。ええ大人やど。
というわけで、この辺りは映画としての作りより、話の中身のあまりの春樹っぷりが顕著だったというところ。
ちなみに、村上春樹自体は割と昔に読んでいる方だけど、最近は自意識とセックスの話ばっかりしてる印象(ひどいけどあながち間違ってない気もする)
一方で、演劇シーンとドライブシーンはかなり好きでした。
特に、ドライブシーン。
これでもかと心理描写してくれる亡き妻のテープも、家福さんがドライバーに意識がいくようになるときちんと音量絞られてて見事だと思いました。
あとドライバー役の三浦さんが、本当に運転して上手そうで、見てて安心するんです。
このあたりは演技の上手さなんでしょうか。
演劇シーンで凄いと思ったのは、劇中で演者がちゃんとダメ演技といい演技を演じ分けていたこと。
あと、手話に関して。いつも手話って見入ってしまうんですが、それってつまり、伝えようとして全身で一生懸命話しかけている事=「演技」なんだなと、今回思いました。
劇版はかなり好みでした。夜明けを感じるようなストリングスの和音、好き!
シンプルな作りに見えてこうして書き起こしてみるとかなり情報量の多い映画だったなと改めて感じます。