赤い流線の美しい車が高速を走る。海沿いを走り、雪道を行く。
運転手の彼女は大切にされている車だから大切に運転すると言う。
サーブ、かっこいいな。車、乗らないけど。
車内の距離感は、心を近付けるのだろうか。それとも、密室だからか、心を暴くのか。
痛みと悲しみと後悔は共感を呼ぶ。
残念ながら、喜びや快楽より共感を呼びやすい。
淡々と丁寧に描かれる心情。
観ている者が、主人公の心情を慮り、それってこういうことじゃないのか?と思っていることを振れ幅少なく描いていく。
劇中劇のチェーホフのワーニャおじさんの話とリンクするような結末。
原作は知りません。ハルキストでもないのでわからないけども、まるで小説を読んでいるような3時間。
西島さんがかなり注目されていますが、三浦透子さんの芝居がとても好きです。
どこか虚な瞳が最後には明るい瞳になっていた。
それだけで、悲しみの先に希望が持てることを伝えてくれる。
そんな映画でした。