しいなどどめ

ドライブ・マイ・カーのしいなどどめのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.3
赤い流線の美しい車が高速を走る。海沿いを走り、雪道を行く。
運転手の彼女は大切にされている車だから大切に運転すると言う。
サーブ、かっこいいな。車、乗らないけど。

車内の距離感は、心を近付けるのだろうか。それとも、密室だからか、心を暴くのか。
痛みと悲しみと後悔は共感を呼ぶ。
残念ながら、喜びや快楽より共感を呼びやすい。
淡々と丁寧に描かれる心情。
観ている者が、主人公の心情を慮り、それってこういうことじゃないのか?と思っていることを振れ幅少なく描いていく。

劇中劇のチェーホフのワーニャおじさんの話とリンクするような結末。

原作は知りません。ハルキストでもないのでわからないけども、まるで小説を読んでいるような3時間。

西島さんがかなり注目されていますが、三浦透子さんの芝居がとても好きです。
どこか虚な瞳が最後には明るい瞳になっていた。
それだけで、悲しみの先に希望が持てることを伝えてくれる。
そんな映画でした。