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ドライブ・マイ・カーのILLminoruvskyのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.0
原題『ドライブ・マイ・カー』 (2021)

監督 : 濱口竜介
脚本 : 濱口竜介、大江崇允
撮影 : 四宮秀俊
編集:山崎梓
音楽 : 石橋英子
出演 : 西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、岡田将生、他

村上春樹の同名短編「ドライブ・マイ・カー」を原作とした、愛妻を失い喪失感に苛まれる男性が、とある女性との出会いを通して新たな一歩を踏み出す様を描くヒューマンドラマ映画。

原作未読。

「喪失からの再生」映画。

「僕は正しく傷つくべきだった」
人間の実人生と演劇『ワーニャ伯父さん』の物語が重ね合わされていき、それらがリンクし交わり(このリンクのさせ方はホント見事でした)、人間が生きていこうとする希望を生み出す瞬間を描き、虚構を演じる人間の生身の姿が真実として炸裂すること、その瞬間があるからこそ、人間の心に響くのだという濱口竜介の哲学が詰まってると感じましたし、
カセットテープから流れるソーニャ(音の声)と最後のソーニャ(ユナの手話)でのセリフが同じなのに冒頭と最後では全く違う意味で機能し、そのセリフが"声"ではなく"手話"によってワーニャ(家福)を包み込むシーンは非常に「映画」的で見事過ぎて溜息出ました。

濱口竜介の演出、脚本、役者陣の演技(岡田将生の車中の独白は凄かった…)、撮影、石橋英子の音楽、ロケ地、"多言語""手話"が象徴する意味と挙げればキリがないほど素晴らしかったです。

『ハッピーアワー』でも思ったが上映時間の時間の長さを感じさせない濱口竜介マジックはホント不思議。

音が高槻に語った物語の続きが、ボクが家福だったら気絶しちゃうくらいの「意味がわかると怖い話」すぎて、あそこはホラーで戦慄…。
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