「おくりびと」以来のアカデミー賞国際長編映画賞受賞をした「ドライブ・マイ・カー」…そんな作品を気にならない訳はなく、いつかは観たいと頭の片隅に残っていた。
普通にアマプラで観れるようになっていたので初鑑賞してみた。監督は濱口竜介。過去の作品とかは何も観ていない。主演は西島秀俊。この人もかねてから実力ある俳優だと思っていて海外でも評価されたコトが何気に嬉しい。
さてと、本作について相変わらず内容なんかは何も知らない。村上春樹の小説が原作らしいがソコについても詳しくはない。つまり予備知識は特に無いがオスカーを獲得するからには何かしら惹き付けるものがあるのかな…ちゅうのが見始めの印象。
まずは、真っ赤なサーブがインパクトに残る。面白いだとか面白く無いのだとか言う内容のものではなく、この手の邦画って引き込まれ具合がつまり面白味に繋がるのだと思う。
本作は約3時間あるものだが惹き寄せられるものが多く個人的には好みの系統である邦画とも言える。尺はちょっと長いが別に焦る必要も無いので、じっくりとこの世界観に浸るコトにした…この勤労感謝の日に。
キーワードは何だろう。
『妻の音』…この一点に尽きるかも。
音を中心にこの物語は成り立っている。
そんな印象が強い。
“音は凄く自然に僕を愛しながら僕を裏切っていた”
と言う台詞が何だか突き刺さるようであり本作の核心に触れたような気にすらなり得た。あの時、あの晩、妻は夫に何を打ち明けたかったのか…そんな重くもなく軽くもないようなテイストが本作の持ち味かも知れない。
そこに、第三者である三浦透子がポイントであり妙に物語を深めていくようにも感じた。共通の価値観において徐々に打ち解けていく、その距離感が何だか一歩抜きん出ている要因なのかとも思える。
彼女のエピソードは過去の事なのでイメージするしか無いのだが相当なものである。余談だが「頭文字D」と同じような英才教育を受けていたのは少し面白かったり。ともかく、二人とも過去に囚われ前に進みきれない様子が似通う。
それにしても、こういう邦画らしい雰囲気のある作品が海外でも評価されるのは何だか嬉しい。おめでとうと伝えたいが私なんかの言葉は何の意味も持たないのである。