福島県への愛と映画を愛する人へ贈られる物語だった。エンタメがなくても、たしかに生きていける。だからといって真っ先に切り捨てられていい理由にはならないんです。誰かにとって「生きることをつなぎとめる作品」が存在することもまた事実だから。
伝えたいことがありすぎるくらいあって、生きる上でのモヤモヤをぎゅうぎゅうに詰め込み、誰かの生きづらさを代弁し、といっても押し付けがましさを感じない優しさがあり、誰かにとって「もうちょっと踏ん張るか」と思える物語にするんだ、という意気込みと真摯さが伝わる映画。
わたしも人生においてあんな先生みたいな人に出会いたいなぁ。羨ましくて羨ましくて。歳の離れた相手を親友とサラッと言えてしまうフラットさ。好きにならずにはいられない。恋愛的な出会いではない、人との出会いを描いてくれる物語がもっと増えてほしい。人生を変えるような出会いは、
恋愛的な出会いだけじゃないと信じたい。
残像現象に救われる人がひとりでも多からんことを。
エンタメは不要なもののようにメディアで謳われ、その弊害で苦しむすべての人がなるべく早く救われる日が来ますように。あなたたちは、この世界に必要な人たちです。
ただ一点、気になったこととしては、外国人バオくんの言葉が少々過剰にカタコトに表現されていたこと。笑いの対象になってしまわないか心配だった。何よりあさひと出会った頃から10年経ってる設定なのに、片言な表現を継続するのは現実味がない気がした。