あらんすみしー

ありふれた教室のあらんすみしーのレビュー・感想・評価

ありふれた教室(2023年製作の映画)
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こういうふうに人権が重んじられる、重んじられなければならい、と描いてくれる作品を見ると、現実とのギャップにやるせない気持ちになったりする。あれほどまでに子どもたちが意見を主張したり、疑問を提示したり、ボイコットしたり、民主主義的な手段を用いている子どもが描かれることにも、圧倒的な差を感じてやるせない。私たちの国の教育は、そうはなっていない。残念ながら。

みんなそれぞれ大切にしたいものが異なっていて、それぞれが守りたいもののために足掻きながら、それでも対立した相手や周りを全く理解できないわけではない。対立する前の姿を知っているから。理解できるから、難しくて哀しくもある。そういう心情が漂う、最後のキューブが物悲しい。あのルービックキューブをどう受け止めるべきか。

穏便に済ませたいという気持ちも、不当なことは不当だと主張せねば人権が損なわれる気持ちも、どちらもよくわかる。

それでもやはり、子どもが守られなければならない存在だという視座を持つ主人公に憧憬の眼差しを向けてしまう。そうあれる人間でありたいものだなと思う。

学校や大人たちの皺寄せは子供に来るんだという言葉が子供たちの台詞として描かれる重さを忘れないでいたい。