みなと

劇場版ツルネ ―はじまりの一射―のみなとのレビュー・感想・評価

4.2
TV放送の総集編ではあるが、新規カットの他に全編アフレコ新録、音響も7.1ch対応で弦音のリアルな音と情景、心情に寄り添った劇伴。作画の素晴らしさは勿論のこと、演出、劇伴、効果音、声優さん達の芝居、全てが素晴らしく、TV放送を見ていた人でも楽しめる劇場版だった。ただ、やはり尺の都合上、弓を引くシーンがメインになるため、部員一人一人のバックグラウンドは省略された感は否めず、初見の方は、キャラの相関関係的には唐突感はあったのかなとは思う。
本作は湊とマサさん、静弥を主軸に弓道について、自身達がどう弓と向き合うのかを、短いながらも群像劇としてよく描かれていたと思う。クライマックスの決勝戦は何度観ても息が止まるくらいの圧巻と圧倒さ。
静かな劇伴ながらも観ていて高揚感が高まる不思議と、武道独特の凛とした雰囲気と静謐さがアニメーションであるにも関わらず、びしびし伝わってきて震えた。
度々駅前の交差点のカットがあったけど、あそこが湊とお母さんの事故現場なんだよね?熱の所為だったのもあるのだろうが、歩道橋で静弥がその交差点を見た際はゆらゆらとぼやけて捉えていたのに対し、湊と話した後はしっかりと交差点を捉えていたのは、湊への負い目と罪悪感を本当の意味で受け止めたからなのかと思った。また、マサさんが事故に合って自分を責めた湊に対して、言った台詞もずっと静弥が自分に言い聞かせていたんじゃないかと思うと、胸が痛くなったし辛いなと思った。
マサさんは復讐というけど、お祖父ちゃん大好きだろ!その執着は復讐じゃなく、尊敬と思慕だよね…。
と、キャラクター達の様々な想いを台詞だけじゃなく瞳の動きや表情、ライティングや演出で情感豊かに描いており、観ている側の心に刺さる作品だった。
それと京アニの方々は各々拘りをもって作っているんだろうな、この仕事大好きなんだなと、ひしひしと感じるくらい素晴らしい仕事振りだと、素人ながらに思った。
2期楽しみである。二階堂推しになりそうな予感。
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