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Helplessのプレコップのレビュー・感想・評価

Helpless(1996年製作の映画)
3.8
無力なものたち〜Helpless

青山真治の長編デビュー作は無力な者たちにピストルを持たせる物語。力もなく救いようのない人々の無駄な暴力が描かれる。

北九州の工業地帯の無骨な雰囲気が画面に映し出され続け、それに呼応するような浅野忠信の冷徹さが強烈。

そんなトーンとは逆に温かみのあるアコースティックなオープニングの音楽(これも青山真治によるもの)もまた強烈。暴力描写が乾いているから北野武作品などと比較されるが、暴力を加える、受ける、どちらのリアクションにも人間臭さもあるから印象は違った。

ピストルの音の軽さや殴るマイムの下手さなどにアマチュア感と「完全な悪になりきれない」感じが同時に出ている。
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