Hiroki

ローズ島共和国 ~小さな島の大波乱~のHirokiのレビュー・感想・評価

3.7
『いつだってやめられる』シリーズのシドニー・シビリア最新作。
『いつだったやめられる』シリーズと今作を観て、この人は少年漫画みたいな話が好きなんだなーと思った。
大人になっても少年漫画みたいな事をやり続けてるバカなやつらの話。
そーいうのが好きなんだろーなー。
たぶんそこを「いやいやそんなわけないじゃん」と感じる人はダメだし、「ほんとバカなやつらだなー」って笑ってしまう人にはハマると思う。

前回までのシリーズでは異常な数の小ボケのオンパレードでコメディとしてかなり面白かった。
イタリア語のまくし立てる感じもとてもフィットしてたし、好みでした。
しかし今作ではそれが激減してしまったのが残念。
それはおそらくこれが事実に基いた物語のためだろう。
事実と創作のバランスというのはいつも難しい。
いっそプロットだけ拝借して小ボケをたくさん加えた創作に偏らせた方がよかったかもしれない。
ちょっと全体的に単調な作りになってしまった感じはする。

そしてこの監督は個性豊かな登場人物がたくさん出てくるんだけど、1人ずつは特に掘り下げないという特徴もあります。
今回も造船工場のアル中エンジニア仲間も、広報担当ドイツ脱走兵も、無口な漂流民も、バーテン妊婦少女もみんな良いキャラしてんのに全然個々に触れないんだよね。
まー時間的にそんなことしてる暇はないって感じもわかるけどなんかポリシーでもあるのかな?

でもシドニー・シビリアはコメディの裏に社会的な風刺を巧妙に隠したり(今作でも国家とは法とは何なのか?という疑問を投げかけていた)本当に映画の作り方が上手いなーと感心してしまうので、今後もこの人には注目していきたいと思います。

しかしベトナム戦争近辺に世界中では色々な事が起きていたんだなー。

2021-10
Hiroki

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