おでい

スペルのおでいのレビュー・感想・評価

スペル(2020年製作の映画)
4.4
家族で里帰りするため自家用セスナで飛んでいたら墜落して、目覚めたら妙に馴れ馴れしい老夫婦に助けられ、変に信仰心の高い婆さんに監禁、家族は消息不明、足は怪我していて歩くのも困難というありがちなストーリーで、一見B級、C級のにおいがプンプン漂ってくる映画。

ただ、見始めるとストーリーの展開も早く、なんなら早々に主人公は脱出を試みてるし、村人が何をしようとしてるかというのも前半でわかっちゃうし、いわゆる村人たちの驚くべき呪いの儀式を後から知るみたいなストーリーとは違っていて楽しめました。

監禁ものミステリーとしてミザリーとの類似点を挙げられてますが、スケルトンキーに近い映画だなと思いました。
言うなればスカッとする終わり方のスケルトンキー。

この手の監禁ものの映画のセオリーとして、逃げては捕まるの繰り返し、捕まるたびに扱いが酷くなる、助けを求めたら実は仲間で連れ戻されるというのがありますが、当然この映画もそのセオリーに従っています。
ただ、そのシーンは極力くどくならないように工夫がされており、見つかってもあまり不遇な扱いを受けず、どちらかというとテンポが落ちないようなシナリオとなっています。

呪術師のおばあさんが何者でみたいな謎解きも簡単にサラッと紹介。

この映画面白いのが、普通は呪術なんて信じないまま最後まで戦いぬくんだけど、主人公がだんだん信じはじめて来て、最後には呪術で決着つけるという逆転パターン。
これ、めっちゃスッキリした人多いはず。

しかもボスを倒したけどまた、襲ってくるというお決まりパターンじゃなくて、それも呪術返しで阻止という徹底ぶり。

実は粉の中身入れ替えてましたというどんでん返しも良かったと思うし、残酷シーンは少ないものの、足の釘を抜いたり刺したりのシーンで全部持っていっちゃうあたりも上手な展開で、残酷描写に頼りすぎず、ストーリーの膨らまし方とテンポ感でまとめた映画という印象を受けました。

ちなみにブードゥー教と間違えが多いのですが、映画の中の呪術はフードゥ教です。

呪術系の映画って泥臭くて土着感があってつまんないと思っている人でもこれは見れる映画だと思います。