おでい

オーメン:ザ・ファーストのおでいのネタバレレビュー・内容・結末

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

オリジナル1作目とリメイク版を予習した上で鑑賞。

オーメン1作目が公開されたのが1976年、今回の舞台は5年前の1971年が舞台の前日譚となっていて、ダミアン出生の秘密が暴かれる映画になっています。
ダミアンと言えば山犬(ジャッカル)の子どもとされてきて、母親がジャッカルでそこから生まれたと思われてきました。
ですが、今回の映画では、母親は人間で、ジャッカルが父親という設定で結論づけられました。
まぁ、この辺りも教会が事実を歪曲して伝えたみたいなストーリーは作れそうですが。

前日譚であるものの、映画としては過去作を知らない人でも楽しめて、過去作を知っているならより楽しめる感じ。

伏線とオマージュもふんだんに散りばめられていて、オーメンでの数少ないショックシーン、首吊り、鉄パイプ貫通、クルマに積んでいるガラスで首の切断(リメイク版では看板で切断)を意識していると思われる、首吊り、鉄パイプの落下、車で胴体切断が登場。
伏線回収としては、産院が以前孤児院で全焼して建て変わっていたことや、最も重要な赤ちゃんの取り替え、そして、最大の謎であったなぜダミアンが反キリストとして人間を抹殺していくのかという理由と、ダミアンの母が誰なのかが明らかになります。
過去作の謎の回収としては十分でしょう。

今作のオリジナル要素として、ダミアンが双子だったこと、マーガレットと娘とカルリータが生き延びて隠居生活をしていることが描かれ、これは当然、そこからのアナザーストーリが展開することを示唆していると思われますが、過去作でダミアンの母であるというスキアーナの墓を掘り返し、中を見ると犬の骨だったというシーンが出ているので、実は母は生きていてここにいるよという伏線回収の1つだったのかもしれません。
もし新作が作られるなら、この掘り返したシーンとの整合性が取られるかもしれませんね。

ホラー映画では無かったという意見もちらほら出てますが、1作目の監督からするとオーメンはホラーでなく、ミステリー、サスペンス映画であり、ホラー映画は作るつもりは無かったと公言しています。
今作もジャンプスケアこそ讒言されるものの、ショックシーンは最低限に抑え、謎を紐解いていくミステリー要素の強いジャンルに仕上がっています。
どこを切り取っても救いようのない雰囲気と併せ、オーメンらしさというのはきちんと継承されています。

なお、いわゆる獣との交配が大きなテーマとなっているので、異形の赤ちゃん、獣姦をイメージするもの、そして気持ちの悪い出産シーンなどが出てくるので、そのあたり事前警告も無いので、若い女性の方や妊婦さんはかなりショックかもしれず鑑賞注意です。

ただ、あのモザイクだけはどうかなと。
ここ最近では男性器がモザイクなしに出てたりってあったし、映画は芸術分野のひとつでもあるので、ある意味そこはスルーされてきたかと思います。
ただ、今作でのあのデカデカとしたモザイクを入れるのは、余計にエロく見えるし、少なくともそういう意図のシーンでは無いのでもう少し工夫が必要だったと思う。
ディスク版も恐らくそのままパッケージされるだろうし、勿体ない感じがしました。

最初は物語の展開が遅いなって感じがして、歯がゆい感じでしたが、結果として丁寧に描いていると思えたし、前日譚としても変なオリジナル要素でエンタメ路線に乗らず、ある意味リスク覚悟でオーメンの世界観を守りつつ作られた映画で十分に楽しめました。