「特撮映画だ!!」となるオープニングで既にテンションは最高潮に達し、そこからミニチュアの世界を歩いてみたいという夢を擬似的に叶えてくれる序盤。
宇宙戦争という悲惨な未来を予感させながらも、ドラえもんという奇想天外な存在が良い意味で悲壮感を中和させるという上手さがあった。
独裁者によるクーデターと支配というのも今の時勢とリンクする部分があり、奇しくも“今”語らなければいけないテーマとなっている。
だが、個人的には“暴力”という行為が解決手段になっているのがうーんという感じだった。
現実世界でクーデターや侵略戦争が起きた場合、暴力で反撃をするのは仕方のないことなのだが、『ドラえもん』ならばその奇想天外さを活かした希望のある解決策を見せてほしかった。
実際に荒唐無稽な解決方法ではあるのだが、それが結局暴力にいってしまうのでは、映画としては“意味”がないように思える。
せっかく大統領の素晴らしいスピーチや、スネ夫の戦争が怖いという感情の反復描写があるのだから、そこに呼応させた結末もあったはず。