ロアー

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ) 2021のロアーのレビュー・感想・評価

3.8
大きくはパピにお姉ちゃんがいること。
細かいところでは色々と冗長や矛盾が改善点されていた点を除いて、ほぼ旧作とストーリーは一緒だったので具体的な感想はこっちで語ります。

偶然とは言え、実際に戦争が起きてしまったこの世界情勢にぴったりな映画でした。小さい子には戦争って難しいだろうし大人だって戦争がどうして起きるのか理解し難いくらいだけど、ドラえもんの映画を通じて少しでも戦争を学ぶことができたら素晴らしいことだと思いました。親子で映画を観終わった後、今、現実にも映画のような戦争が起きていることを、怖がらせないようにお子さんに伝えて欲しい。

この映画に出てくる独裁者はビジュアルからしておそらくナチスをモデルにしているものと思うけど、状況は今と一緒。独裁者が自らの欲や妄想で小国を一方的に攻撃して武力で支配しようとしている。
今は圧倒的な戦力の差があったとしても、この声が届けば世界が味方になってくれるかも知れない。そんな願いを込めたパピの演説が、スクリーンを通して現実に語りかけているようで胸に刺さりました。ここまで現実とシンクロした演説というのも、偶然の一致なんかじゃなく戦争という歴史が何度も繰り返されてきた証だと思うとやるせない。

そして、今作についてはスネ夫が主役と言っても良いような気がしました。「パピの星が危険だ!よし、助けよう!」とみんながすぐさま決断する中、スネ夫だけが怯えて塞ぎ込んでしまう。
スネ夫が弱虫のように見えてしまうけど、むしろスネ夫の方が戦争の怖さを正しく理解していたと思います。
怖くて当たり前、だって戦争なんだもん。
死ぬかもしれないんだもん。
実際、ドラえもんたちも処刑寸前のピンチに見舞われていて、アニメだから大丈夫だと分かっていても、銃を向けられる姿がすごく恐ろしくて嫌でした。

そんなスネ夫に誰もその場しのぎの励ましや無理強いをしようとしなかったのもすごく良かった。
台詞で分かりやすく伝えることも大切な要素だと思う子どもをメインターゲットととした映画で、自分の葛藤を語ったスネ夫に対して無言でそっと立ち去るしずかちゃんの姿も印象的でした。

自分自身でものすごくものすごく考えて、これではいけない、他所の国のことだと逃げていてはいけないと葛藤し、自分ができる限りのことをしようと決意したスネ夫の勇気を讃えたい。
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