Yoshishun

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ) 2021のYoshishunのレビュー・感想・評価

3.9
“自由のために闘え”

映画ドラえもん41作目は、1985年公開の『のび太の小宇宙戦争』のリメイク作。オリジナル版は小学生が戦車に乗り込み敵を蹴散らす描写と静ちゃんのあれの衝撃が強かったのだが、本作は偶然にもウクライナ侵攻の始まった直後に公開されたのもあり、独裁国家に立ち向かうドラえもん達の姿はまさに現実の民兵とリンクする。

最初に言っておくと、上質なリメイク作なのは間違いない。ミニチュアサイズ視点での巨大な敵艦との対峙や現実を歩く人々や走る車というスケールの大きさはちゃんと感じられる。特に強化型戦車によるクライマックスは、最早ガンダム映画レベルの激しさと映画的興奮をもたらす。また、少年兵を賛美するように見えたオリジナル版よりも、あくまでミニチュアで臨場感溢れる映像に仕上げ、かつ敵にも慈悲をもって向き合う精神に、ドラえもんなりの戦闘描写となっている。

不満点はオリジナル版と同じくスモールライトのご都合展開で、またスネ夫の戦線離脱が何度も繰り返される点だろうか。普通の子どもが戦争に対して抱くであろう恐怖をスネ夫を通して描こうとしていたが、さすがに似た展開を何度も出されると手数の無さを痛感してしまう。

それでも最近観てきたドラえもん映画の中では良作の部類に入るし、今このタイミングでこの内容をドラえもんを通して描くことに意義があったように思う。
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