不動産屋で分譲アパートのセールスをしている中年女性ジュリア。なかなか思うように成績が上がらず落ち込み気味。そんなある日、ひょんなことからとあるアパートに住む一人暮らしの老人の死に遭遇するジュリアだが…というストーリー。
「クローズト・バル 街角の狙撃手と8人の標的」や「ベネフレシア」のアレックス・デ・ラ・イグレシア監督が手掛けたブラックコメディです。
ジュリアは老人の死体が運ばれる時に落ちた財布に入っていたメモから、老人が3億ペセタもの大金を20年間隠し持っていたことを知る。それを手に入れて運び出そうとするジュリアだが、同じアパートの住人たちもその存在を知っており、老人が死ぬのを今か今かと待っていたのだった、という内容です。
ホラーやサスペンスにジャンルされることもありますが、基本的にはドタバタブラックコメディですね。
主人公ジュリアがそう美人でもない金髪おばさんというのが何かスペイン映画らしいですね。ジュリアが勝手に空き部屋で優雅なひと時過ごしてたら、上の階から水漏れがして、消防隊員とともに突入して老人の腐乱死体を発見するも、偶々その老人が20年間床下に大金を隠していたことを知り手に入れるも、同じくそれを狙っていた住人たちと熾烈な争いを繰り広げるまでがテンポよく描かれます。
とにかく登場人物たちが欲の皮の突っ張った奴らばかりで、そんな連中が繰り広げる争いは笑いと狂気が紙一重な感じで面白いですね。主人公ジュリアも頑なに大金の事隠して渡そうとせず独り占めしようとしますし。
ラテン男にジュリアナンパさせて寝室にいる間に部屋に入って家探ししたり、死亡事故が起こった後、来た警官と一緒に大金持ってアパート出ようとするジュリアと出て行かせまいとする住人たちの、警官に悟られない様に水面下で繰り広げられる攻防も面白かったですね。ジュリアも大金の事バレたくないから強引に動けない所も面白い。
また、ジュリアが勝手に入ってて、旦那が新しく越してきたと嘘ついたせいでずっといなければいけなくなった部屋にちょくちょくお客さんが内見に来て、しかもそれが大金数えてる所だったり死体運んでる所だったりと尽く最悪なタイミングなのも笑えます。それを何とかジュリアが切り抜けていく所も見所ですね。
争いの中で事故だったりで住民達に死人が出ますが、エレベーターで上半身切断される所で一瞬だけゴア描写あります。
殺す気満々で追い掛けてくる住民達とジュリアが屋上で逃走劇を繰り広げる終盤は、広大なようで移動するには狭苦しいロケーション活かして盛り上げてくれましたね。追い掛けてくる最中に仲間割れ起こして死人が出ていきます。ババアマトリックスのシーンは悔しいけど笑った(笑)あの婆さんマジスゲェ!一番執念深くジュリアを追ってきましたし、最後の馬の彫像が並ぶ中での攻防もハラハラできました。
いつもダースベーダーの格好しているスターウォーズオタク君がいい味出してます。住民達や母親からもバカにされていて、ジュリアの事いつも双眼鏡で見ててシャワーシーン見て「フォースがっ…!」とか言いながらシコってる変態ですが、好意持ってるジュリアを救うために秘密裏に動いてて、バッグ巡って奪い合いしてる住民尻目に全てを奪って、愛するジュリアも手に入れるラストは清々しさあって良かったです。他の住民と違ってジュリアに接してる時も紳士的だったしなぁ。
中々楽しめたドタバタブラックコメディでした。