剣々

ザ・ホワイトタイガーの剣々のレビュー・感想・評価

ザ・ホワイトタイガー(2021年製作の映画)
4.0
底辺から這い上がれ!

貧しい村の貧しい家庭で育った青年バルラム
ある日裕福な地主の運転手として使用人の職を得ることに成功する
持ち前のずる賢さをフル活用し徐々に信頼を得ていくが、とある事故がきっかけでバルラムは自分と向き合うことになる
今まで考えられなかった自分のこと、将来のことと果たして自分の未来はどうなるのか…
そしてバルラムがくだした決断とは…

インドが舞台のじっとりとしたサクセスストーリー
ベストセラー小説がベースらしいです

ただ単純に成り上がるだけではなく、古くから生活に根付く習慣や伝統、根底にあるカーストといった文化的な部分から貧富を描いている部分がありとても興味深いです
社会全体も家族の中でも搾取するものと搾取されるものに分かれ、それが当たり前に描かれる様にハッとされました
どんなに理不尽な目にあっても主人のことを考え使用人であろうとする姿は、まさに脈々と受け継がれてきたカーストの血脈かと思うと考えさせられますね

また、作中出てくる表現が中々特徴的ですね
使用人に甘んじる人々を檻の中のニワトリに喩えたり、貧乏人が頂点に登る方法は2つ犯罪か政治的手段、叛逆は成功という言葉
その一つ一つがバルラムという男の生き様を表してますね!

バルラムの幼少期より始まり、明るい出来事と現実を突きつける暗い出来事が次々と訪れ
後半に向けてゾワゾワする様な感情を揺れ動かされる非常に印象的な作品でした




【雑記】
近年社会的な格差を描く作品が増えてきており、高評価な作品も沢山あります
本作も例に漏れず非常に良くできた作品でした
こういった作品が増えていること自体が近年の社会の姿を表しているんでしょうかね
どちらにせよこのジャンルから今後どの様な傑作が出てくるのか気になりますね!
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