日本で生まれただけですでに人生イージーモード。
無駄に派手で、ジョークが散りばめられ、たまに歌い踊る、みたいなイメージがインド映画にはありましたが、本作はまったくそれとは逆のごりごりのヒューマンドラマでした。サクセスストーリーのはずなんだけど、冒頭の暗いシーンからすでにきれいにサクセスしてきたんではないことが窺い知れる。
インドの経済はすごい勢いで伸びてきているけど、古来からの差別制度はまだまだ根強く残っている。それを受け入れたまま生きていくのか、はたまた上の階層のものを蹴落としてでも上がっていくのか。おそらく極端とも思えるような選択肢しか常に残されていないんだと思う。
おそらく死ぬことはなく、虐げられることもなく、選ぼうとしたら選べる余地が多大にある日本。その恩恵のもと、自分にはなにができるのか。本作の主人公に、「おれははやった。お前はどうするんだ?」と言われているような気がしてきた。