ShinMakita

冷血のShinMakitaのレビュー・感想・評価

冷血(1967年製作の映画)
2.8
・追悼:ロバート・ブレイク




カンザスシティ。ギターを手にやってきた前科者ペリーは、ムショ仲間ディックと再会する。ディックは最近出所したばかりの凶暴な男。彼は同房のウェルズからあるネタを仕入れていた。それは、郊外のホルコムという町に住む農家クラターの情報。何でも、この家の金庫には1万ドルが眠っているらしい。一晩の押し込みで1万は、実にチョロいヤマだ。ディックは温厚なペリーを誘い、準備を始める。実家から持ってきたショットガン、スーパーで買い込んだダクトテープにロープ・・・これらを手に、ある夜二人はクラター家に侵入する。一家は、中年のクラター夫妻と思春期の息子と娘、計4人。彼らを拘束し、家捜しをするペリーとディックだが・・・

翌日、知人がクラター家を訪れて驚愕し、警察に通報する。見つかったのは、縛り上げられた上にショットガンで惨殺された4つの屍体だった。捜査を開始したカンザス警察は、ウェルズからの垂れ込みを受けてディックを手配。ついに、メキシコに逃亡しながらその後カネが底をつき、当てもなくカンザスをさまよっていたディックとペリーを逮捕する。残虐な犯行の実行者はディックだと考えた刑事たちだが、そんな彼らに、ペリーが驚きの真相を語り始める・・・


「冷血」


ペリー役、ロバート・ブレイクが亡くなりました。奥さんの死でスキャンダルになった人ですが、「破壊」「グライド・イン・ブルー」などニューシネマの隠れたスターでした。

さて本作。カポーティがドキュメンタリータッチで書いた小説の映画化作品です。現代人の目から見れば、さほど異常な犯罪にも思えないんだけど、それは、現代が病んだ時代である証拠。きっと当時は、理由もなく・衝動的に・悪魔のような所業を犯す青年たちの心理は理解しがたいものだったのでしょう。

理解しがたい凶悪犯罪、といっても、この「冷血」レベルでは貧困や差別など、さまざまな背景で加害者に同情心を抱くことは容易です。青年の屈折した感情が血を呼ぶ、といった事件は、むしろ日本のほうが先駆的とも思える部分もあります。そして、私を含めた誰もが、加害者になりうる危うさをも秘めていると悟ります。誰もが「冷血」な部分を持ち合わせている・・・それを忘れてはいけません。
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